山ほどのことを キラキラとなびく髪。甘い蜜に似た金糸色。振り返ったときの優しい笑顔とか。 そういうものを見ているといつも思うから。 「お嬢さん!!」 「あら、デュオ。どうしたのですか?」 振り返った瞬間なびく髪。まるで花びらが集まって飛ぶようだと彼は思う。 「これ、あげるよ」 ほろ苦いチョコレートと、甘い甘いバニラのソフトクリーム。 「ありがとうございます…。でも、なんですか、これ?」 「ソフトクリームだよ」 「そふとくりいむ、ですか?」 「ああ。お嬢さん甘いの好きだろ? 疲れたときには甘いモノって言うしさ」 ソフトクリームを彼女の少し小さな手に渡す。彼女は根を詰めすぎで、自分で自分の疲れを自 覚しない悪い癖がある。彼はそう思い、息抜き程度に、とそれをちょうどあったワゴンから買っ てきた。 彼女のことを誰より思い、彼女を守ろうとしている彼は不器用だから、自分がこれくらいやっ ても支障はないだろう。友人のために少しでも役に立とう。 「…どうやって頂くのでしょう?」 ふっ。 思わず笑いが吹き出た。ああ、彼女のそういうところはものすごく破壊力があるというか、力 が抜ける。 「こう、アイスみたいに普通に舐めて食べればいいから。冷たくて美味しいぜ」 「はしたなく…ないでしょうか?」 「いいのいいの。大丈夫」 「はい…。では、頂きます」 おそるおそる、といった感じでペロリと舐める。その瞬間、彼女の表情がパアッ、と輝く。 「冷たくて甘くて…、とっても美味しいです」 「そっか。よかった。じゃあ、遠慮なくどうぞ」 「はい!」 熱心にペロペロと舐めていた彼女が、ふと言葉を紡いだ。 「デュオは、いろんなことを知っていますね」 「そうか?」 「はい、とても、とても素敵だと思います」 それを聞くとデュオは頬を軽く掻き、表情を隠すように背を向けた。 「じゃあさ、今度時間があったらみんなで遊びに来ようぜ。そんな時間、とれないかもしれない けど。いっぱい、面白いこと教えてやるよ」 「はい」 心底嬉しそうに、彼女は笑った。そしてまた彼も笑った。 彼女の大切な人も一緒に。友達を連れて。 普通にある素敵なことを、 世間をよく知らない彼女と、常識はずれな彼女の大切な人のためと、に、たくさんのことをやまほど やまほど教えてあげよう。 デュオリリにあらず。 デュオから見たヒイリリなんです。