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勤しめ! ファブレ先生 これはガソガソパワードで大好評連載中の作品、「勤○め!仁岡先生」のパロです。大使さまモテモテ。短×長です。 簡単な紹介 ルーク・フォン・ファブレ 中学生の頃いじめられたことがトラウマで、子供嫌い。そして子供(ガキ)を滅ぼすために中学教師になった。担当科目は数学。子供には厳しいが、意外と常識人。トレードマークは黒縁眼鏡。喫煙者。 ルカ・ローレライ 自称不良。が、実際は成績優秀で真面目な良い子ちゃん。ちっちゃい可愛い子が悪ぶってる、ということで教師生徒問わず大人気。隠れたあだ名は「ひよこ」。ルークにマジ惚れして、常にぴったりくっついている。少年ですが、セーラー服着てます。(気にしちゃ駄目!) この二人を中心に進みます。 他のキャラは、かわいい子が大好きな体育教師ティア、ガチヤンキーアニスなど。 予鈴 大きな窓から見える空は晴れ晴れとしている。鮮やかな青だ。その窓から差し込む光は柔らかく、温かい。 そんな中、ある青年がスーツをきっちり着込んだ男性と共に歩いていた。 「中学生ってやつらはうざってえ、だりいやつばっかだ。俺が一番嫌いな生き物だ」 長髪の青年の方―柔らかい朱色が、毛先に進むに連れてグラデーションがかかり、黄色になっている―は、廊下を行き来する女子生徒を見て(睨みつける、と言った方が正しいかも知れない)そう吐き捨てた。凶悪な顔だ。元の端正な顔が見る影もない。 「なんだっつーの、あの丈! ガキが色気付いてんじゃねーよ!」 そう言って、目線だけではあるが勢いよくさしたのは、ある女生徒のスカートだ。膝小僧はとっくにこんにちはしている。 「しかも、あんなにワックス付けて髪立てやがって! ピアスまでしてやがる!!」 くるりと首の向きを変えて、他の生徒をまた視線でさす。黒縁眼鏡の奥の、翡翠がギラリと光った。 「何かと理由をつけて教師に反抗しやがって…。しかも、あいつらは群で来やがる」 言って、青年は握り拳と掌を合わせた。パン、と乾いた音が鳴る。 「だから滅ぼせって言うんだろ? あいつらを」 にやり、彼は笑った。 生徒指導室。 普段ならば学生達が恐れる其処には、ある一人の新任教師がいた。彼は鮮やかなグラデーションがかかった朱色の長い髪を後ろで束ね、いかにも、といった様子の黒縁眼鏡をかけている。 彼は、新任であるルーク・フォン・ファブレである。新学期が始まる今日、転勤してきたばかりではあるが、生徒指導室の教師用椅子に座る姿は今日初めて出勤してきたものとは思えない。つまりは、ふてぶてしかった。見るからに厳しそうだ。 そんな関わりたくない組み合わせの場所に、自らやってきた少年がいた。朱色の短い髪は、少し襟足が長い。背が小さい割に歩き方は堂々として、彼はその歩き方でルークの元に向かった。 (スカート丈、減点だな) 膝小僧はやはり見えている。 「俺…やっちまった…」 ルークが頭からつま先まで見ていると、(減点が他にないか見つけるためだ)彼は重々しい様子で口を開いた。心なしか、瞳も濡れている。 「…新学期早々何しやがった、ガキ」 頬杖を付きながら言う。すると、少年は頼りない肩をふるふると震わせた。 「俺、俺…!!」 「ピアスあけちまったんだよ!」 言って、髪を耳にかける。柔らかそうな耳朶には、確かに不釣り合いなピアスが付いている。蛍光灯でキラキラ光った。 「いやはずせよ」 すぐ塞がんだろーが、とあまりにもっともな台詞を、ルークは返した。全身からくだらねえよふざけんじゃねえよこのガキ、というオーラが滲み出ている。隠すつもりなんてさらさら無いようだ。しかし少年はひるまなかった。 「穴は塞がっても父上母上から貰った大事な体に穴開けたって事実は無くならぬぇ!!」 「じゃあなんで開けたんだよ」 再び、もっともなことを返した。 変な不良もいたものだ、というよりあんな生き物は不良じゃない。 そう、生徒指導室を出たルークは思う。先程の少年とのやりとりで、ひどく疲れた。 あんな飴を銜えて(疲れた脳に糖分を補給させるためらしい)勉強熱心、挙げ句ちびでHR五分前だから、と教室に急ぐような生き物は不良じゃない。あんなのが不良ならチワワだって獰猛な野獣になるだろう。「鬼殺しのルカ」とか名乗っていたけれど、有り得ない。そしてあんなのに仕切られるクラスも、有り得ない。 面倒くせえことになりそうだな。 ふっと、溜息を吐いた。 「今日からお前らの担任になったルーク・フォン・ファブレだ」 HR時、ルークは告げた。生徒達の視線がルークに集中している。(ルークの容姿が目立つものであるから、ということもあるのだろう) 「何か質問あるか?」 言えば、一人の女生徒が勢いよく手を挙げた。瞳は好奇心で輝いており、そのままの様子で言う。 「はあい! 先生の好みのタイプ教えて!!」 なんともまあ、女生徒らしい質問だ。特にルークは眼鏡の所為か固い印象もあるが、整った顔つきをしている。若い先生となればそう聞かれるのも無理はないだろう。 しかし、ルークの答えは残酷だった。 「好みのタイプをてめえらに話す義理はぬぇ。嫌いなタイプはてめえらみたいな小賢しいガキ全般」 「俺は教師という立場を生かして、お舞えたりを陰湿に追いつめていこうと思ってる! よろしくな!!」 大変いい表情で、そう言った。 「さっきから聞いてりゃあよ、お前何様のつもりだ?」 教卓の前に、ずんずっと勢いよく少年が近寄る。今朝、生徒指導室に自主に来た変な子供だ。身長が足りない故、教卓の下の方から(教壇の上にあるから、存外高いのだ)可愛らしく上目遣いをしている。眉根を寄せてメンチを切っているつもりらしいが、くりくりと した目はメンチには向かないにも程がある代物だ。長い睫毛、ふっくら唇、ぷにぷにほっぺたも同様である。 「黙れちび」 そんな少年を見て、ルークは鼻で笑った。随分と見下している。(勿論高さはあるのだけれど) 「ルカちゃんに失礼だと思います!!」 しかし、そんなルークに何人かの生徒が噛みついた。今まで落ち着いて座っていたのに、立ち上がって猛抗議をする。何故か一般生徒のはずなのに、自称不良より睨みが怖い。 「そうですよ、鬼殺しを何だと思ってるんですか!!」 「いや、知らねえよ」 ついでに言うなら知りたくもない。そんな言葉を心中で付け足す。 ちらり、ルークは教壇の下のちびっこを見やる。どこも鬼殺し、という単語が似合う部分は無い。むしろなまはげか何かに真っ先に攫われてお尻ペンペンされてそうなタイプだ。簡単に言えばがきんちょだ。 「こいつの何を根拠に鬼を殺せるっつってんだよ」 やれやれと、呆れた様子でルークは言う。すると、立ち上がって抗議をしてきた生徒はニヤニヤ笑った。 「先生何言ってるんですか〜」 「いもしない鬼をどうやって殺せるんですかあ」 ぷつん。 何かが切れる音がした。 「いや殺れる。今の俺なら鬼だろうがなんだろうが殺れる」 ルークは白いこめかみに、青筋を立てていた。 鬼殺しに関してはおいおいと。 |