透明すぎる すべてが、きらきらきらきら輝いていて、それがどんなものより透明で、逆に怖くな るくらい。 いつものように、仕事が終わった後、運び屋内では名をはせる馬車の運転する車で、 同じく運び屋内で有名な、赤屍蔵人と工藤卑弥呼は一息ついた。 有名とは言っても、片方は経歴だけではなく、その普通では考えられない年齢からで もあった。見ただけでは、全然幼く、小さい。その上腕も華奢で、とても全身血に染ま るような裏社会の住人とは思えない。保護者がいるならまだ話は別だが、彼女は一人で 生きているらしい。そんな真っ暗な裏社会とはつりあわない少女の名は、どんどん広ま っていった。実力はまだたりないが、それでも一般人と比べれば十分なほどだ。 最強最悪の運び屋と呼ばれる赤屍のように、殺しを楽しんでいるわけでもなく、ただ 与えられた仕事をこなす。 甘く甘美な香りを漂わせ、力こそ少ないが、頭と素早さを十二分に利用し闘う。 いつしか、その姿にはまだ早すぎる「レディ」と、その姿からは到底考えられない、 彼女の武器である「ポイズン」を合わせ、レディ・ポイズンと呼ばれるようになった。 その、決して年相応ではない残酷さと、時折見せる瞳の執念の光に、賛美と畏怖を持 ちながら。 「それにしても…今日の敵さんは一段と弱かったですね…。塵のようです」 薄い、感情の読み取れない笑顔で彼は話す。小さく息をこぼすと、彼の服と同じ、血 がべったりと付いた帽子を取りつつ彼は呟く。 「私にとっての仕事は過程が大事だというのに…全くつまらない」 そしてそのままコートのポケットから真っ白なハンカチを取り出し、返り血を拭う。 真っ白なハンカチはまたたくまに黒の混じった赤に染まる。 「あんたを満足させることのできる相手なんて、そう簡単にいたら困るわよ」 おそれもしない態度で彼女は言う。最強最悪と呼ばれる彼をそこまで満足させる力の 持ち主がそう簡単にいたら、商売あがったりどころか、間違いなく自分はすでに死んで いるだろう。 そう、唇をかみしめながら思った。 「そうですかねえ」 「そうよ」 「そうですかv」 表面上はニコニコととれる笑顔で彼は応対する。そんな彼を横目で見ながら、少女は あることに気付いた。 「あんた…髪のびたわね」 「そう思われますか?」 「うん。すごいのびた。邪魔じゃない?」 「…あまり気にしませんからね。変でしょうか?」 困ったように首をかしげる赤屍の様子がおかしくて、卑弥呼はついに吹き出してしま った。鈴の鳴るようにころころと、小さな笑い声が広がる。 「おんし、久しぶりに笑ったのう」 「ですね」 「え?」 今まで黙っていた馬車も、口元に笑みを浮かべる。 「笑うことはいいことじゃぞ」 「…うん」 「健康にも言いそうですよv医者が言うんだから間違いありませんv」 「…変なの」 そう言い、先ほどまでとは行かないが、口元に緩やかなカーブを描き、瞳は穏やかな 光を称える。だが、またいつものような表情に戻る。 「そんな、普段から気張らなくても良いと言っとるだろう」 「…うん」 どこか悲しげに返事を返すと、卑弥呼はそのまま赤屍に視線を移した。 「…そのさ、赤屍」 「何ですか?」 「切ってあげよっか、髪?」 収拾つかなくなったんで一旦切ります。続きます。 仲良しまったり運び屋希望。