無器用な生きる術 星は流れる。 ひとつ、ふたつと。 決して終わることのない流れで。 流れ星は、星がその長い長い一生を終わらせるときの、最後の仕事だと昔誰かが言っ ていたことを、アンジェリカは思い出した。 狭い機内で、自分とは反対の位置にある窓の向こうを見つめている少女を、彼女は横 目で見る。 深い菫色からは、何の感情を汲み取ることも出来ない。 ―彼女は何を思うのだろうか。 この、宇宙に。 これから先行く、地球に。 別段、何も感じないのだろうか。自分と同じように。 昔はいたとはいっても、その記憶は今まで10年以上生きてきた自分の記憶の内、消 えるか消えないかの瀬戸際にあるものだ。 今さら、何を感じることもない。只自分が生きるために、手を汚し、任務を遂行する だけ。 それしか、今の自分に生きていく術はない。今さら平穏を手に入れたところで生きて いける自信はない。 甘ったれたぬるま湯の中で、じわじわと殺されていく。 平穏の中で、自分の今まで生きてきた術、証をすべて否定される。 そんなのまっぴらごめんだ。自分達は生きている。生きているのだ!! 「アンジェリカ」 「え、あ、なに?」 「どれくらいで、着くのでしょうか」 顔はアンジェリカのほうを向いていない。どんなときでも馬鹿丁寧(普通はそうは思 わないらしいが、アンジェリカには馬鹿丁寧としか思えない)な口調に思わず苦笑した。 「さあ? でも、そんなかかるわけじゃないわよ」 「そう…ですか」 窓に映ったその表情は、様々な思いを抱いて歪んでいた。 降り立った場所で、初めて吸った空気は自然で、人工的なものは何一つとして感じな かった。樹や花も、草も、貼り付けたようではなく、自然なのだ。 自分達の住んでいる場所が何処までも人工的でいびつで、まさに「箱庭」だというこ とを思い知らされた気がして、リリーナは少しだけ悲しくなった。 「…とりあえず、これ、処分しなくちゃ。リリーナ、離れて」 彼女が一定の距離まで行くのを見ると、アンジェリカは自分達の乗ってきたそれに、 ちいさな装置をつけ、リリーナと同じくらいまで離れる。 そしてそのまま手に持っているもののスイッチをいれた。 爆発音があたりに響き、樹と空気は一瞬震え、鳥は飛び立った。 …のこったのは、真っ黒な燃えかすだけ。 「…この音は、好きになれません」 「あたしも」 でも、そんなことは言ってられない。そう思い頬を軽く叩く。 自分達には、、時間はあまり無い。短すぎる期限のなかで、遂行しなければならない のだ。生き抜くために。 それしか、自分達は生きれない。 ゆっくりと、二人は歩き出した。 この話のリリさまは多くは語らないので、アンジェリカに代弁してもらってます。 オリキャラだけど動かしやすいし、リリーナとの対比がしやすいので好きだったりし ます。 このシリーズは本当進展遅いです…!! でも今回の話は結構好みなのです。でも所詮自己満足。