Sugar and spice And aii that's nice





「るー…く?」
「…約束しただろ? 待っててくれて、ありがとうな」
 目の前の人は、ティア達の前で笑った。今まで見たこともないくらい、穏やかな、柔
らかな笑みで。でもその笑みの中に残っている悲壮さは、確かにみんなの知っているル
ークのものだ。焔と称すに相応しい朱色の長い髪、エメラルドの瞳、日焼けをすること
を知らなかった白い陶器のような肌、全部全部、みんなの知っているルークのものだ。

「ルーク!!」
「…ただいま」
 照れくさそうな困ったような笑みを作りながら、ルークは呼びかけに応えた。ただい
まなんて言葉を使う機会は今までほとんど無かったから、余計に気恥ずかしいのかもし
れない。
「帰ってきたよ、俺、アッシュも…一緒に」
 今度は幸せそうに目を細め、紡いだ。それに、誰もが一瞬意識を奪われた。確かにこ
の人はルークなのだと。
「アッシュもですか!?」
 ぼうっとした後、ナタリアが言う。その瞳には安堵の色と、信じられないという疑い
の色が入り交じっていた。
「うん、ちゃんといる。…ちょっと今は意識がねーけど、連れてくる」
「ルーク!!」
 今まで一言も発さなかったガイが叫んだ。その声は緊張していて、ルークの肩が僅か
に跳ね上がった。
「…ガイ…?」
「いや…お、俺も手伝うよ。お前だけじゃ運ぶの、大変だろ?」
「ガキ扱いすんなよな。…ま、ありがとよ。じゃ、手伝ってくれよ」
 歯を見せてルークが笑えば、ガイの全身にあった緊張は解けたらしく、こんどこそ安
堵の息を吐いた。




「…水を差すようで悪いのですが、夜の渓谷は危険です。とりあえず、安全な場所へ移
動しましょう」
 ガイとルークでずるずるとアッシュを運び、いよいよ喜びの最高潮へ、というところ
でジェイドが口を開き、制した。正論だったから、誰も反論はしなかったけれど。


 歩く間、空気はひどく柔らかく温かいもので、ルークは少し既視感を覚え、クスクス
と笑った。

















 短いですが、とりあえずここまで。
 次からはゆるゆるな感じでいきますよー。