Sugar and spice And aii that's nice






 ルークの意識は、今本当に自由だった。ゆらゆらと揺れ、漂い、好きなところへと広
がっていく。その上何だか温かいもので全身を包み込まれている気がするのだ。それが
あんまり優しくて温かくて、何だか離れたくない気もするくらいだ。
 けれどルークの意識の底は、そんなことは望んでいないと叫ぶ。もっと大切なものが
あるのだと、大声で叫んだ。その叫びにルーク自身も気付いていたから、意識の中での
み頭を振った。

 おれのしあわせ、は。


 思った瞬間、温かいものは意識の中に流れ込んできた。
 そしてそのまま、それはルークに向かって喋る。やっぱり温かくて、優しい声だ。そ
のことが単純に嬉しくて、ルークはそれに向かって笑う。そうすれば、声は笑い声にな
った。

「しあわせにね」

 最後に聞こえたその声に、ルークはぬるい涙を流した。










 
 
 ひんやりとした空気と、嗅いだ覚えのある香りに包まれ、ルークは目を開いた。
 すぐには焦点が合わないが、瞬きをする度に目本来のピントへと戻っていくのが分か
る。ピントがしっかりと合えば、それはあの懐かしいセレニアの花だということが分か
った。
「…ここ、は」
 何だかヒューヒューという音と共に、変に裏返った声が出た。それに顔を顰め、咽を
押さえてもう一度声を出せば、本来に近い声が出た。
「タタル渓谷…か?」
 体を起こし、波の音が聞こえる方に視線を移せば、やはり月明かりに照らされた海が
ある。あの、旅が始まった渓谷なのだ。何だか感慨深くなり、視線を落とした。
「そういえば…アッシュ!?」
 視線を上げ、あたりを見渡せば、すぐそこにその人はいた。月明かりに照らされた所
為か頬も何だか青白いが、あのとき落ちてきたときとは違い、生気がしっかりあった。
あれは夢ではなかったのだ。
「…ローレライの、おかげか」
 あの旅の中で素直に言えるようになった言葉を、そっと心の中で言う。不思議と照れ
くさく何て無かった。むしろ、清々しいくらいだった。心の中で、何かに灯がともった
ような、熱さを伴うすがすがしさ。
 その気持ちのままもう一度、あたりを見渡す。
 月光は海を照らし、海は月光を反射し空気をきらめかせる。その空気は岩や草に降り
そそぎ、岩や草は艶やかに光る。そしてその中でセレニアの花が、神秘的な空気そのも
のになったかのように、凜と咲いていた。それは何時か見た光景そのままで、ルークの
目尻がじんと熱くなった。



 感傷に浸っていると、伸びやかな歌声が響いた。
 瞬間、ルークの意識はすぐにそちらへと向かう。歌声は冷たい空気を縫い、月へと向
かい、誰かへとそれを届けようとする。
 


  その歌を聴くべき人は、笑って、待ち望んだ言葉を紡いだ。



















 そんな感じで再会。
 コメディに出来るんですかねああもう。