Sugar and spice And aii that's nice 耳の奥で―脳内なのかもしれない―何かが響き、それに意識を呼び戻された。 …おかしい、だって、俺はあのとき確かに。 それが脳内をぐるりと一周した瞬間、ルークははじかれたように起きあがった。 「…アッシュ?」 見渡せば、隣には自分の被験者がいる。その頬には生気が戻っていた。それがなかっ たときには笑っていたくせに、それがあると分かると安堵の溜息が漏れた。自分勝手だ と、ルークの中の誰かが笑った。 瞬間、最後に瞼に焼き付いていたローレライが、沸き立つかのように現れた。 「ルーくん、お疲れ様」 そして、何だかお間抜けな呼称と、しゃべり方。 「…へ?」 誰ですかこの人…っていうか意識集合体は。今までの空気は何処に行ったんだ。張り つめたような、湿ったような。 見た目と声はルークの知っているそれだが、何だか全然違うそれを目の当たりにし、 ルークはお世辞にもいいとは言えない自身の頭をフル回転させる。が、所詮は普段あま り使わない上、実質七歳児以下の脳味噌。フル回転させてもたかが知れていた。 「ありがとね、おじさんのこと開放してくれて。おじさんやっと窮屈なとこから抜け出 せるよ」 何というか、正直信じたくなかった。自分に話しかけてきていたローレライはいつも 威厳に満ちあふれていて、まさに「崇高」やその他の賛美の言葉がぴったりな存在だっ たのだ。そういう存在と親しめると言うことに、ルーク自身はほんの少し誇りを持って いたのに。言っちゃ悪いが、今現在話しかけている意識集合体は思いっきり頭が悪そう だ。 そんなルークの思いを察したのか、ローレライはこともなさげに言葉を紡ぐ。 「ルーくん、君がもうすこーし大人になれば分かると思うけどね、おじさんもいっぱい 生きているから色々あるわけだよ。よそいきのお顔をつくんないとね、やっていけない わけだよ。でもおじさん普段こんなだからかたるくてかったるくて。だからあんまり気 にしちゃ駄目だよルーくん」 「う、うん」 まあ、意識集合体にも色々あるというわけか。普通なら此処で納得しないが、ルーク の許容範囲は旅をしている間にずいぶんと広くなっていたから、あっさりその言葉を受 け止めた。それがいいことなのかどうかは分からないけれど。 「そうだ、アッシュ!! ちゃんと生きてるんだよな!?」 我に返り、ルークは問う。それに軽い感じでローレライは返した。 「うん、おじさんが頑張ったから」 「ありがとうローレライ!」 言えば、ルークは嬉しそうに笑った。きらきらとした声と表情で。 「アっくんは、ちゃんと帰すよ」 「…よかった」 「ねえ、ルーくん」 「え?」 急に緊張した声で、ローレライはルークを呼んだ。 「ルーくんは、帰りたいと思う?」 書き直しました。 薄暗いコメディにしていこうかと。(なにそれ)