自分の腕の中にいる人を見て、ルークは笑った。不思議と、笑いたい気持ちだった
のだ。
 腕の中の人は、もう呼吸をしていない。もう血は通っていない。もう動かない。そ
れでも、笑った。別に、嘲笑うとかそういう気持ちではないのだけれど。

「あっしゅ」
 そのまま、拙い発音でその人の名前を紡ぐ。自分が奪ったことによって名付けられ
た名前だ。
「…るーく」
 今度は、彼の本当の名前を呼んだ。それは同時に自分の名前でもあったけれど、そ
んなことはもう呼んだ本人の中ではどうでもよかった。あの日から、その名前は完璧
に彼のものになっていたのだ。呼んだ本人にとっては。
「ごめんな」
 ポツリと呟く。その声は本当に小さくて、本人の耳の中でのみ響いた。



「…さよなら」
 


 彼を抱く腕が、不思議ととけていくような感覚がした。けれど、全然怖くなんて無
かった。むしろ、満たされるにも近い感覚。その感覚に不思議に涙が出そうになり、
それを誤魔化すかのように笑った。



 瞼に焼き付いていたのは、自分の髪色によく似た色の、ローレライだった。
 









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