飲み込んだ言葉 一人、ルークは黄昏れていた。いつもみんなが周りにいるという状況に慣れてしまっ たから、一人だと何かに飲み込まれそうになる。あくまでそれは感覚だから、そうなる わけないのだけれど、ルークからすれば自身の罪に飲み込まれる気が本当にする。 臆病だと笑われるかもしれないけれど、それは本当だったからルークは言い訳も何も する気はない。それに何より、ルークがそれを誰かに告げたことはないから、笑われる はずがないのだ。 もう少しで最終決戦。 勝っても負けても、恐らく、いや確定に近い確率で自分は消える。 それはルーク自身がよく分かっていた事実だから、今さら考えることもなかった。九 死に一生を得て、生きていることのすばらしさを改めて感じたのだ。漠然としたもので はなく、本当の本当の気持ちで。 それが分かれたから、いくら罪を背負っていたとしても、俺の人生はきっと幸せだ。 胸一杯に空気を吸い込む。夕焼けの中の空気は、何処と無く切ない。それがルークの 胸を満たすと、同じようにルークの思考を切なく染め上げた。 みんなに会えなくなるのは辛い。でもきっと彼が約束を果たしてくれるから。 でも、それでも―。 思い描いたのは一人の女性。 優しく、凜とした。黄金の稲穂のように美しい人。眩しい光。 「ルークさん」 ルークは、いつでもそうやって呼んでくれる彼女が好きだった。自分達の為に、無償 で危険な旅に協力してくれる。温かくて優しい人。 過去の自分を知らないから、安心しているのかもしれない。そう思っても、ルークの 中で愛しさは消えないのだ。 いつも優しく笑ってくれる。その事実に、過去とかそういうものは関係なく、何度も ルークは救われているのだ。表だって出ることはない。只、自分に出来ることをやって いる。 その上で、ルークに笑いかけてくれる。 そのしなやかな強さが好きなのだ。 触れたらおれてしまいそうなのに、逆にルークの心に触れてくる。 「ノエル…」 小さく小さく、誰にも聞こえないように名前を呼んだ。世界で一番、きっと愛おしい 名前。ルークの名前はアッシュから奪ってしまったものだけど、ノエルが「ルーク」と 呼ぶとそれが特別なものに聞こえる。自分の名前を呼ぶとき、少しでもノエルの思いが つまっていると良いとルークは思った。 あの笑顔が見えなくなるのが怖い。あの唇がもう自分を呼ぶ意味で「ルーク」と開か れなくなるのが怖い。 …怖くなった。 本当は、待ってて欲しいと言いたいのだ。 (言っていいはずがない!!) (帰って来れないくせに、待っててくれなんて、俺は何処まで馬鹿なんだ!!) (でも、それでも、待ってて欲しいんだ…) 伝えれないから言葉を飲み込んだ。 つっかえたそれに吐き気がする。 命がつきても思っていて欲しいなんて、馬鹿なことばかり考えている自分に。 文は気に入っていないけれど、案外ネタ的には気に入っています。 いつも誰か→ルークばかりなのでたまには誰か←ルークにしようともくろみました。 砕け散りました。 ノエルクは珍しくルークが押していますが、やっぱりルークは受けなのです。