傷口に包帯を(そして、きみには) 何だか最近、ずいぶんと冷めた感情たちが芽生えるようになったな、と何の気なしに 思った。 血がしたたり落ちている足を、丁寧に治療するひとをルークはずっと見ていた。長い 髪は、時折足を滑るから何だか居心地悪い。 そんなことせず、治癒術を使えば早いのに。 (ああ、またこんな感情が) 治癒術師である彼女が治癒術を使わず、消毒液と包帯を使ってルークの傷を治療して いる。何ともおかしな図だとルークは思っている。 消毒液と包帯の無駄だ。治癒術の方が、確実だし。 かといってそれを言えないのは、あまりにティアが慈しむように治療するからだ。 人の思いを無下にする、なんてことはルークにとってはあまりに残酷で恥ずべき行為 だったからだ。けれどやはり何で、という思いは消えない。 自分を大事に思ってくれていることは分かる。何となくだけれど。けれどルークはそ れが恋情だなんてさらさら思わない。 信じられないのだ。ティアが自分を好きになるなんてことが。 今までティアをはじめ、みんなは自分のことが嫌いだったんだろうなあ、なんて思う から。自分の愚かさは、自分だって呪い殺したいくらいだ。 包帯を巻く手つきがゆっくりすぎて苛々する。(そんなに丁寧に巻く必要、俺にはな いよ) いつの間にか目の前のことから飛んでいた感情を無理矢理向ける。僅かに髪から除い ている彼女の耳は、薔薇色に染まっていた。 今すぐ彼女の手を拒絶してしまいたかった。だってあんまりに無意味に思える。自分 の体を構成しているのは所詮第七音素だけだ。普通とは違う。 嗚呼、どうせなら血も何も出ないように、只の人形として作って欲しかった。 彼女の手を、蹴飛ばしたら彼女はどんな顔をするだろう。 そんな優しさ向ける必要がないよ、と言ってしまいたい。 それが出来たら、それだけで自由な気がした。 傷口に包帯を。(そしてとびきり優しい君には) (それを無意味だと教える術を) (冷めた感情は言うんだ) (人形よ、さあ蹴飛ばせ!!!) 贈りものシリーズと言い張ります。 妙にドライなルークが書きたくなったのです。 仲間プラスアッシュとヴァンでやりたいと思っています。 最初はティアちゃん。優しさをもらい、優しさを捨てる術を。