カラカラと規則的な音がする。そのたびに体は揺れた。
 目の前の景色は移りゆく。それは初めて見るものだった。
 隣からは声が聞こえる。それを嗚咽と知らなかった。

 カラカラとしくしくで耳がおかされくるくると瞳は動き知らないものばかりを見た。

 降っていたものは霧雨で、それが緑を濡らすのがなんとも面白かった。
 雨をあの場所以外で見るのは初めてだった。

 つながれた手のひらは、生ぬるくて少し気持ち悪かった。




            このふたつのめは、そうして


「おまえが誘拐されてからはあいつがきた。それだけだ」
 カップの後始末をしながらガイは紡ぐ。その言葉はやけに事務的で、話しかけられて
いるアッシュの上を上滑りするような、冷たいものだった。
「…違う!! 俺が知りたいのは、あいつがきた、そのあとだ!!」
 知らないなんて言わせないと、アッシュは叫ぶ。部屋の中を、アッシュの声の残響が
支配した。

「…お前は、きっと…いや、やっぱりいい。ティア、ナタリア、みんなを呼んできてく
れないか?」
 頭を振りつつ言うガイの瞳は、見たことがないくらいに冷たい色をしていた。





「…どうしたんですか、ルーク、慌てて」
「煩い。早く準備をしてくれ。続きをする」
「どうしてそんなに急ぐ必要があるんですか。第一、負担が」

「…時間がもう、ない」
  苦虫を噛み潰したような表情で、ルークはこぼす。
「…そう、ですか。じゃあ、始めましょうか」
「ああ」
 ルークの雨に濡れた背中が、不思議とディストには小さく見えた。今にも泣きだしそ
うなこどもみたいな。






「…正直言って、俺も詳しいことは分からない」
 神妙な面持ちと声色で、ガイは切り出した。その声が支配する空間上はひどく緊張し
ていて、息をするのも苦しいほどだ。
「だから今から話すことも、ほとんど推測に近いし、俺が知っていることは僅かだ。そ
れだけは承知してくれ」
 皆、ゆっくりと頷いた。誰かの咽がゴクリと鳴る。


「あのルークは帰ってきてからしばらく…一年たったかしたあと、誘拐されてたんだ。
三ヶ月くらい」


 それだけで、何かが壊れるには十分だった。















 ひっぱりすぎてすいません…!!
 でもまだ続きますごめんなさい。
 そして修正。恨むのなら私の馬鹿脳を。