世界を好きでいたと思う。
 世界は汚くなかったと思う。


 確かに、好きでいたと思う。

 けれども、なぜだろうか。

 けれども、どうしてだろうか。

(どうして、奪われた)

 苦しい。とても、苦しいのだ。

 確かに世界を好きでいた。確かに全てを好きでいた。
 世界の清潔さを信じ、世界の光を見つめていた。

 他に、何か望んだだろうか。
 それだけでよかった。満ち足りていた。それ以上を、大それた事を願ったわけではなかった。



 それなのに、それなのに。




(誰が決めた)

 全て組み込まれていたという。全て決まっていたという。


 この恐怖も、痛みも、憎しみも、全て、全て、全て。

 ああ、本当にそうだというのならば。

 痛みとは何だろうか。
 世界とは何だろうか。
 自分とは何だろうか。


   はじまりはないのではないか。
 おわりはないのではないか。
 えらぶことなんてできないのではないか。

 自分はここにいないと、同じではないか。
 ここにいる自分は、何だというのだ。



 せかいは、じぶんはどこにある。