美しい傷跡に、


           紫色の空の下、彼は呪詛を突きつけた。「仲間」だった人物たちに。
           彼の声は、彼と同じ人物達の中心で高らかに響く。その様子を、何か荘厳なものでも
          見るような目つきで複製品達は見つめていた。自分達と、共に死ぬ人を。その視線はと
          ても潔い。


          「俺は、お前らを許さない」
           ひとしきり笑い終わると、彼は額に手のひらをあてた。あまりにオーバーで、おおげ
          さな芝居がかった動作だ。

          「俺はこの世界を祝わない。愚かで醜い被害者の世界なんて! 呪ってやるよ。一生苦
          しめば良いさ、被害者共!!」
           言えば、彼はまた満足そうに、至極楽しそうに笑った。見慣れたはずの瞳だけがやけ
          にギラギラとしていて、彼のその感情がひどく歪んで擦り切れてしまったものだという
          ことを、皆に伝える。形の良い唇(それすら、今は彼のものではない)はひたすらに呪
          詛ばかりを紡いだ。
 

           それを突きつけられた人物達は、思うことしかできなかった。あの日のことを。彼が
          言う、自分達が被害者になったその日のことを。


           その日、彼は決してしてはいけなかった過ちを犯した。彼がそれを求めたが故に、山
          ほどの人々が死んでしまった。当然、皆は糾弾した。
           ルークは加害者で、自分達は被害者なのだと、暗に言った。

           その日以来、彼は変わった。
           壊れて、しまった。


          「俺が消えるのは、罪の代償じゃない。お前らに、傷を作るためだ」
          「…どういう、」
           咽をふるふると震わせながら、問う。が、その問い自体が愚かだとでも言うように、
          ルークは舌打ちをして、視線を空に投げた。おどろおどろしい紫色を見つめる。

          「お前らは、俺たちの墓の上で生きていくんだ。お前らが生きていく世界自体が、俺ら
          の墓標。上等だよなぁ? 被害者が、加害者のおかげで生き延びられるなんて」
           ルークが告げれば、回りを取り囲んでいる複製品達が、クスクスと笑い始めた。光の
          宿らない瞳は笑っていないが、口元が薄い笑みを浮かべている。その何とも薄ら寒い情
          景に、思わず皆は息を呑んだ。足の先や指の先から、力が抜ける。
          笑い声は止まない。ルークの、こちらの反応を伺うような視線も逸らされない。


          「忘れるな。被害者は同時に、」

           瞬間、彼は剣を振りかざした。空から降る鈍い光で、同じようにそれも鈍く光る。



           光が、はじけ飛んだ。





           彼の紡いだ言葉は、確かに被害者達に届いた。あまりにも真理であって残酷な言葉。





          「加害者だろ、複製品殺し共」



           言うルークの表情は、今までで一番穏やかだった。











                             アンケートにお答え下さった方に、捧げます。

            ※ 転載、お持ち帰りはご本人様のみ可能です。











           無記入でしたが、台詞を下さった方に捧げます。
           ひどく、心に響く台詞でした。全体的に短めですが私なりに思うことをまとめ、あえ
          て糾弾される部分は他と比べて具体的にはしませんでした。

           エルドラントか心中時、とのことでしたので今回は心中時にしてみました。
           後日、エルドラントバージョンも制作しますね。

           修正して欲しい部分や苦情等がありましたら、遠慮無くbbsや拍手、アンケートの方
          にお寄せ下さい。納得して頂けるまで書き直すつもりです。

           回答と素敵な台詞、ありがとうございました!