思い出は大切でしょう? 下 まあ、早い話は間違いだったんだ。 そう思いつつもどうしようも出来ないから、アッシュは大きすぎるバスタブのなかで 溜息をついた。アッシュから出た溜息は、湯気に混ざって消えた。 いつもより温めのお湯が張られたバスタブ。 そしてその中には水着のアッシュと、そんなアッシュに抱きかかえられているルーク の二人。 バスタブの外には腕まくり足まくりをして音機関を手にしているガイ。 早い話、もうしっかりばっちり撮影中なわけで。 「アッシュ、ルークが映らないからもう少し上にだっこしてやってくれ」 「…」 無言で従うアッシュ。もう反論する気力も起きない。 ルークはというとあーだのうーだのいいつつお湯で遊んでいる。のんきなものだ。 ガイが片手であひるのおもちゃのねじを巻くと、それが動き出す。それを見るとルー クはきゃっきゃっと声を上げる。可愛らしい情景だが、自分が今置かれている状況だと それを素直に可愛いと思えない。 「…ほんと、ルークは可愛いなあ」 でれでれしているガイの顔は本気で締まりがない。ガイの顔に締まりが無くなるのに 比例して、アッシュの顔が険しくなる。 苛々する。 別に、ルークを風呂に入れるのが不服というわけではない。弟の面倒は見たいと思っ ているから。苛立ちを増やすのはガイの行動だ。 いきなり、「ルークがお風呂入っているところ録りたいからアッシュも入れ」などと 言ってきたのだ。有無を言わさない態度で。 そして現在撮影中。なんというか何でこう風呂という本来ならばリラックスするため の場所で撮影なんてされなきゃいけないんだ。赤ん坊はともかくなんで自分まで! アッシュが反論しても、ガイはアッシュがいないような態度でそれに対応するからな おさらだ。 「よし、こんなもんでいいだろ。アッシュ、俺は出てくから、もう一度ルークを洗って やってくれよ?」 「煩い黙れ」 ガイはアッシュのその台詞を聞くと、あーはいはいと何とも適当に受け流す。それが アッシュのかんに障る。 「あ、そうだ。このビデオあとで奥様に見せるからな」 「…はあ!? ふざけんじゃねえ!!」 あり得ない。恥ずかしい。しかもあんな不機嫌そうな様子を? 「やってみろ、殴ってやるからな!」 「そんなこというなよ、思い出は大切だろう?」 「この場合は大切じゃねえ!!」 「あ、今ちなみにアッシュドアップだから」 「…殺す!!」 くだらない口げんかは、赤ん坊がアッシュの腕の中でぐずった頃、ようやく収まった。 次の日、ガイの顔にアザが出来ていたとかいないとか。 なんだか落ちが…。 もう少しほのぼのな話にしたかったのにな!! 短い上におかしいので書き直したいです…。上下じゃなくしたい。 時間があればそのうち…。