ルークは、前に比べて随分痩せたように見えるその人を見つめる。当のディストは、
訝しむような、疑うような緊張した視線をルークに返した。
  その反応にちょっとだけルークの心が痛む。けれど、仕方ないのだと軽くかぶりを振
って、もう一度ディストを見つめ直した。

「…ジェイドが言ってた」
「は?」
 口を開いて言葉を紡げば、ディストはますます分からないというような表情をした。
その証拠とでも言うように、眉根が寄せられ、ルークの被験者のような眉間の皺がはっ
きりと見えた。

「ディストが俺を作ったから、俺の父上はディストだって」
 少々、色々なものを省略しているがまあ、事実だ。ジェイドが聞いたら、色々と直そ
うとする台詞だけれど。
「だから、何なんですか?」
 問えば、ルークは視線を泳がせ、体をほんの少し居心地悪そうに動かした。少しだけ
開いた唇からは、あーだのうーだの、はっきりとしない言葉が紡がれる。

「…そのさっ!!」
 かと思えば、いきなり勢いよく喋りだした。その勢いに、不覚ながらディストは驚い
てしまった。次の瞬間にはそれ自体が恥ずかしくて腹立たしくて、わざと視線をそらし
て冷たく言った。
「ハッキリしなさい」


「俺、ディストが作ってくれたなら、ディストが父上でも良いって思えるんだ! それ
から、俺、もっとディストの事、知りてぇ。…なんて言うか、仲良くしたいって、思う
んだよ…」
 最初の勢いは何処へやら、最後の方は徐々にか細くなっていった。視線も俯き、頬は
ほんのりと紅潮している。 

「ディストも、日記つけてるんだよな。俺もさ、日記付けてるんだよ。だから、コーカ
ンニッキしようぜ! そうすれば、きっとお互いのこと、分かるだろ?」
 言いつつ、彼は一冊のノートを差し出した。
 薔薇色のそれの四隅には、ディストの好きな薔薇の花があしらわれており、何故か真
ん中にはフェルトで作ったブウサギが張ってある。大分、無器用なものだ。その上には
あまり行儀がよろしくない字で、「交換日記」と書かれていた。

「…嫌だったら、いいんだ。ただ、それだけだから、じゃあなっ!!」
 渡して言うと、逃げるようにルークは去っていった。ディストが何かを言うよりも、
速く。





「…本当に、あの子は何なんですか…?」
 ノートをよくよく見てから、溜息混じりにディストは呟いた。























 お待たせしましたすいません…! 
 それでも待っていてくれる人がいるというのは嬉しいことですね!(感涙)
 短めですが、続きます。
 この二人ははじめ、意思疎通が上手じゃなければいいと思います。